本文へスキップ
コース目次

アカデミーモジュール 0 · オリエンテーション

3つの層:ワークスペース、グラフ、エージェント

全3レッスン中 3番目10分

このレッスンで学ぶこと

  • 3つの層を挙げ、ファイル、つながり、回答をそれぞれどの層が担うか説明できる。
  • 原本文書、抽出した事実、語彙、判定を区別し、それぞれの保存・復元範囲を説明できます。
  • ノート内の1文からグラフ上のノードへ、さらに出典へ戻るまで、ひとつの事実をたどれる。
  • 執筆中にConsilienceがバックグラウンドで静かに行う処理を説明できる。

使い始めて6か月。ノートは数百件になり、チームメンバーから"価格について何を決め、どこに書いたのだっけ?"と聞かれます。Markdownファイルだけのフォルダーでは、答えを見つけるのに20分かけて検索し、読み流すことになります。ノートはどこかにあります。足りないのはつながりです。

Consilienceの答えは、それぞれ1つの役割を持つ3つの層です。Markdownファイルは書いたとおりに残ります。その上では、誰と何がつながるかを示す索引としてナレッジグラフが育ちます。さらにAIエージェントがグラフを読み、手作業なら追いかける必要があるつながりをたどります。

初回起動時にフォルダーを接続したため、抽出はすでにバックグラウンドでグラフを構築しています。処理を待つ間に、このコース全体の土台となる構造を見ておきましょう。

3つの層を一覧する

保持するものひとつの原則
1 · Markdownワークスペース自分の端末にある、プレーンで持ち運べるノートファイル自分で編集する原本ファイル。エージェントも権限に応じて作成・変更できます。
2 · ナレッジグラフノートごとに抽出されたエンティティ、関係、自分の原文ステートメント再構築可能な索引:すべての事実が、どのノートから表明されたかを記憶する
3 · エージェントグラフのつながりをたどり、回答して実行するAI上の層で推論し、学んだ内容は明確なラベル付きの新規ノートとして保存する
ワークスペース
Markdownファイルのフォルダー。ほかのすべての層の土台となる、永続的で持ち運べる層。
エンティティ
人、組織、場所、プロジェクト、アイデアなど、ノートが言及する対象。グラフのノードになる。
名前付きグラフ
グラフストア内にある、ノートごとの区画。各ノートから抽出された事実が、ノートのパスをキーに別々の区画へ入る。
来歴
事実がどこから来たか。Consilienceでは名前付きグラフが来歴の記録となり、その事実を表明したノートを示す。
エージェント
グラフを読み、つながりをたどって質問へ答え、自分の知識をラベル付きノートとして書く内蔵AI。

第1層:原本ファイルを保管するワークスペース

最下層は最も単純で、最も重要です。自分の端末にあるMarkdownファイルのフォルダーです。上の層はすべてこのファイルから作られ、上の層から書き戻すことはありません。ノートを保存し、名前を変え、移動しても、どのエディターでも開けるプレーンテキストのままです。明日Consilienceを離れても、この層はそのまま手元に残ります。

抽出と文書編集の違い

抽出は文書を読み、別のグラフに事実を記録します。文書編集やエージェントによるファイル作成は別の操作であり、ファイルの内容が変わることがあります。

エージェント自身の知識も、この境界を守ります。学んだ内容はlearned/配下に新しいファイルとして保存され、エージェント作成のラベルがつくため、エージェントの言葉と自分の言葉を常に区別できます。

第2層:エンティティ・関係・出典のグラフ

Markdownノートを保存するたび、Consilienceが静かに読み取ります。そこに登場する人、プロジェクト、場所、アイデアはエンティティになります。それらをつなぐ型付きの事実は関係になります。さらに"Capture your decisions and questions"が有効なら、自分の決定、質問、主張、引用はステートメントとして一字一句そのまま残ります。すべて端末内のグラフストアへ入り、ファイルへは書き込まれません。

最も重要な設計上の選択があります。各ノートの事実は、そのノートのパスをキーに、そのノート専用の名前付きグラフへ入ります。

1つのノート = 1つの名前付きグラフ
# Each note gets its own compartment, named after the note:
note "strategy/pricing.md" {
    (Acme) -acquired-> (Initech)
}
# Re-extract the note -> only this compartment is replaced.
# Delete or rename it -> this compartment is dropped or re-keyed.

ノートごとの名前付きグラフによって、抽出した事実の出典を確認できます。関係にカーソルを合わせると、根拠となるノートと一文が表示されます。原文の事実は再抽出できますが、同じオントロジーを保つにはグラフ・語彙・判定も保存する必要があります。

捨てられるのは、この層全体を再生成できるからです。Settingsの"Rebuild knowledge graph"は、最新のロジックですべてのノートを再抽出します。自分で行った修正(型の上書き、同義語の判断、削除したつながり)はノートごとのグラフ外に保存されるため、再構築しても教えた内容は消えません。

クアッド:4つ目の枠は信頼のためにある

Consilienceのストアが使うWeb標準、RDFでは、事実をsubject、predicate、objectのトリプルで表します。実用的なシステムでは、トリプルが属するグラフを示す4つ目の枠を加え、クアッドにします。

セマンティックWebの世界では、この4つ目の枠で来歴を記録します。ストアは事実と出典を一緒に保ちます。"この出典はAcmeがInitechを買収したと述べている"という事実に、そう書いたノートを添えます。Consilienceはノートごとに1つの名前付きグラフを割り当て、すべての事実へ出どころを持たせます。情報分析でも同じ原則を使います。主張を出典から切り離しません。

ノードをドラッグしてみましょう。コミュニティを選ぶと、その部分にフォーカスできます。

小さなナレッジグラフ。ノードをドラッグできます。各球はノートから抽出されたエンティティ、各線は型付きの関係です。完全版は⌘⇧Gですぐに開けます。

第3層、エージェント:上の層で推論する

最上層は内蔵AIです。グラフは自分のためだけでなく、AIのためにも存在します。アプリの空状態にある表現を借りれば、Consilienceがグラフを作るのは"so the AI can follow those connections to a complete answer."、つまりAIがつながりをたどって完全な回答へ到達するためです。ノートを1つずつキーワード照合する代わりに、エージェントはエンティティから関係へ、さらに背後のノートへ進みます。すべての移動は、第1層にある正確な根拠文で裏づけられます。

  • グラフを通して読む。 エンティティ、関係、原文のステートメント(エンティティページの"In your words")は、エージェントがたどれる文脈になります。どれも出典ノートまで戻れます。
  • グラフも構築する。 抽出とは、そもそもAIがノートを読む処理です。使用するモデルはSettingsの"Extraction model"で選びます。
  • 見える形で学ぶ。 エージェントが保存するノートはlearned/配下に入り、自分のノートと同じように索引されますが、常にエージェント作成のラベルがつき、自分の文章へ混ざることはありません。

バックグラウンドでのグラフ整理

人の記憶になぞらえて考えてみましょう。第1層は自分が経験したことです。第2層は、眠っている間の脳の働きに似ています。記憶そのものには触れず、その日の出来事を関連づけて整理します。

"Automatic knowledge-graph extraction"を有効にすると、保存のたびに変更したノートだけを対象とする静かなバックグラウンド処理が始まり、触れていないノートはそのままです。さらに深い整理は、"Tune up AI search"を1クリックすると実行されます。6時間以上離れていて、本当に変化があった場合は、グラフに"While you were away"の要約が表示されます。

ひとつの事実がたどる道

  1. 自分で書く(第1層)

    ノートに"Acme acquired Initech in March"と入力して保存します。ファイルが永続的な記録です。書き換えられることはありません。

  2. 抽出が変更を捉える(第1層 → 第2層)

    保存した瞬間、バックグラウンド抽出はこのノートだけが変わったことを検知し、そのノートだけを読み直して名前付きグラフを書き換えます。AcmeInitechはエンティティになり、"acquired"は両者をつなぐ型付きの関係になります。

  3. 自分で監査する(第2層)

    ドキュメントサイドバーの"Key facts"ボタンを押すと、"What this note says"ダイアログが開きます。エンティティカード、関係の行、このノート内のローカルな関係グラフを確認できます。

  4. エージェントがたどる(第3層)

    ナレッジグラフでは、Acmeのカードにつながりが表示されます。カーソルを合わせると、Consilienceがノートの正確な一文を引用します。これが、第1層の言葉に根拠を持つ第3層の回答です。

このモデルを覚えておく

この先のレッスンは、すべてこの構造につながります。"extraction"と出てきたら、第1層から第2層を作る場面を思い浮かべてください。エンティティページ、コレクション、トピックマップに触れているなら、第2層を見ています。

チャット、調査の実行、エージェント提案の確認は第3層です。そこで示されるすべての主張は、第1層の正確な一文へ戻れるべきです。

2分で3つの層をたどる

  1. 任意のMarkdownノートを開き、ドキュメントサイドバーの"Key facts"ボタン(waypointsアイコン)をクリックします。"What this note says"ダイアログに、第2層がこのノートから抽出した内容が表示されます。
  2. 閉じて⌘⇧G(またはタイトルバーのwaypointsボタン、"Knowledge graph")を押します。同じデータが、すべてのノートの名前付きグラフを統合した状態で表示されます。
  3. 左ドラッグで回転し、スクロールでズームし、ノードにカーソルを合わせて"n connections · m notes"の要約を確認します。
  4. エンティティノードをクリックし、カードの"Connections"にあるチップへカーソルを合わせます。

その事実を述べた、ノート内の正確な一文が表示されます。このひとつのホバー操作に、アーキテクチャ全体が現れます。第2層の索引が、第1層の言葉へまっすぐ戻ります。(新規ワークスペースでは"Your knowledge graph is empty"と表示されるため、先に1〜2件のノートを保存してください。)

3つの層が存在する場所

次はアプリのウィンドウを画面ごとに確認し、3つの層がそれぞれどこに現れるかを見ていきます。

3つの層:ワークスペース、グラフ、エージェント