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アカデミーモジュール 8 · 資料収集と実践的な活用

調査・会議・読書の記録を活用

全3レッスン中 2番目14分

このレッスンで学ぶこと

  • 論文フォルダーを、取り込み → ドメイン語彙 → トピックマップ → 質問という流れで、問いかけられる調査ワークスペースに変えられる。
  • 決定を原文のまま記録し、後日の変更を"Superseded"の履歴として確認できる意思決定ログを運用できる。
  • 書籍や記事をエンティティとして蓄積し、自動更新されるコレクションで読書ログを育てられる。
  • 各段階で使うパネル(Extraction、Domain vocabulary、Topic map、Revisions、Collections)を判断できる。

40本の論文PDFが入ったフォルダーを、調査に活用するにはどう始めればよいでしょうか。このレッスンでは、調査ワークスペース会議と決定の記録読書記録の3つの作り方を学びます。

どの手順も、Markdownノートからグラフを抽出し、管理画面で結果を確認して、原文を根拠に質問する流れです。目的に応じて、使う画面や資料を変えます。

レシピ1:論文フォルダーから調査ワークスペースを作る

先ほどのフォルダーに、あとで読むつもりの十数本の記事リンクも加えましょう。目標は、PDFを1本ずつ開き直すのではなく、"この手法をさらに発展させたのは誰か?"のような質問を40本すべてにまたがって行うことです。アプリはコピーを読み、その内容を整理するため、原本は一切変更されません。

PDFを、問いかけられるグラフへ変える

  1. ウィザードを開く

    サイドバー → "Extract sources"(または⌘⇧I)を選びます。初回は簡単なサインインと、一度だけ表示される"Before you extract"の説明を済ませれば開始できます。

  2. 取り込む資料を追加する

    PDFフォルダーをドラッグします。記事は"Add manually" → "Add URL"から追加します(1行に1件ずつ、好きな数だけ貼り付けられます)。似た2つのボタンを混同しないでください。行のXは今回の一覧から外すだけですが、Ban("Exclude from extraction")は.consilienceignoreへ追加し、今後も除外します。

  3. "Import"を押す

    5段階のチェックリストが始まります。テキスト中心のPDFは高速なローカル経路で読み取ります。スキャンや図版の多いPDFはビジョンOCRを通り、図はattachments/配下に実際の画像ファイルとして保存されます。

  4. 第2〜第5段階を任せる

    "Getting to know your topics"は抽出前に手元の論文を読み、ドメイン語彙を構築します。最後の"Organizing into themes"ではテーマを見つけて名前をつけ、"N themes"として処理を締めくくります。

  5. 完了カードから次へ進む

    "Your documents are ready"カードには、"Ask a question about your documents"と"Knowledge graph"の2つの出口があります。ここでは質問を選びます。

パイプラインの段階処理内容
"Reading your files"決定論的に変換します。各資料を忠実なMarkdownノートへ変換し、原本は添付するだけで変更しません。
"Getting to know your topics"短いAI処理でドメイン語彙(読む人のペルソナ、エンティティ型、正規の述語)を作り、分野に合う抽出を準備します。
"Extracting the knowledge graph"AIが各ノートを読み、エンティティと型付きの関係をグラフへ書き込みます。
"Connecting related items"エンティティ解決が近似重複の統合と関係を提案します。自動適用はしません。
"Organizing into themes"新しいグラフ全体からコミュニティを見つけて命名します("N themes")。

黙って待つ必要はありません。構築中にチャットメッセージを送ると、"Knowledge graph still building"ダイアログが表示されます。その時点で回答すると、未完成のグラフを検索することになるためです。

ダイアログでは"Send when extraction finishes"か"Send now"を選べ、その選択は構築が終わるまで記憶されます。保留したメッセージは入力欄の上に並び、それぞれ"Send without waiting"、"Edit and requeue"、"Remove"を選べます。単独のノート保存では、このゲートは出ず、控えめなヒントだけが表示されます。

期待される結果。 グラフがノート間のつながりをたどり、完全な回答へ到達できるため、論文を横断した質問が可能になります。エンティティページの関係チップにカーソルを合わせると、その事実の根拠となる一文が"{note} · line {n}"という引用付きで表示されます。

  • 左レールの"Topic map":名前と要約を持つテーマ。
  • "Summary note":テーマのノートと概念を、ひとつのハブノート(map of content、MOC)へまとめます。
  • 表示設定の"Map mode":テーマを地図上の大陸のように広げます。

改善のループ。 自動生成された語彙は、あくまで下書きです。左レールの"Domain vocabulary"を開き、"Teach the AI your field"を押して、学習した述語を調整し、保存します。すでに取り込んだ40本にも新しい語彙を反映するには、Extractionパネルの"Re-extract everything"を実行します。Lifecycleパネルの"Tune up AI search"なら、Domain vocabulary → Re-extraction → Synonym check → Relationship check → Topic mapの全工程を1クリックでつなげられます。

レシピ2:決定を覚えている会議ログ

想定するのは、毎週の製品会議を1回につき1つのMarkdownノートへ記録する運用です。半年後、誰かが"Atlasのローンチについて何を決め、いつ変更したのか?"と尋ねます。

フォルダーやタグでは答えられません。ノートを分類するだけで、内容までは読み取らないからです。ステートメント層なら、書いた決定を原文のまま捉えているため答えられます。

"Capture your decisions and questions"を有効にすると(既定で有効)、抽出は書き手自身の文を一字一句そのまま、決定、未解決の質問、主張、引用として保存します。さらに継続的な好み、価値観、立場も対象です。各文は関連するエンティティと結びつき、他者の引用には話者情報がつき、立場には賛成/反対/中立の極性バッジが表示されます。各エンティティページの"In your words"に、種類ごとにまとまります。

数か月離れた2つの会議ノート
meetings/product sync (March).md
  "Meeting notes, March 4, 2026."
  "We'll launch Atlas in early June."

meetings/product sync (May).md
  "Meeting notes, May 12, 2026."
  "Decision: the Atlas launch moves to September."

Revisions panel, later:
  NEW      "Decision: the Atlas launch moves to September."
  REVISES  "We'll launch Atlas in early June."
  product sync (May) → product sync (March)

意思決定ログを運用する

  1. 会議をプレーンなノートとして書く

    会議ごとに1つのノートを作ります。フロントマターまたは本文に、ノート自身の日付を明記してください。ノート間の改訂順序は、ファイルの更新日時ではなく、必ずノートに書かれた日付に従います。

  2. 明確な文で決定を書く

    "We'll launch Atlas in early June."は一字一句そのまま取得されます。"maybe we should think about June"は曖昧な検討なので除外されます。決定を明確に書けば、AIがその文を原文のまま保持します。

  3. 保存して次へ進む

    保存すると、バックグラウンド抽出が静かに始まります。特別な操作もダイアログもありません。ノートが最新になると、ファイルツリーのバッジが消えます。

  4. エンティティページで確認する

    Atlasのエンティティページを開き(⌘⇧Lでエンティティテーブルを開く → "Filter by name…" → 行をクリック)、"In your words" → Decisionsを確認します。

  5. 改訂を確認する

    Knowledge graph表示 → 左レール → "Revisions"へ進みます。各行でNEWとREVISESが対になります。"Confirm"を押すと以前の決定がアプリ全体で置き換え済みになり、"Reject"なら提案を却下します(選択は永続的に記憶されます)。確信度の高い組み合わせは"Applied"として自動適用されますが、常に"Undo"できます。"Recompute all"はワークスペース全体を再走査します。

期待される結果。 Atlasページでは3月の決定に取り消し線が入り、"Superseded"バッジと、5月のノートを開く"Superseded by {note}"リンクが表示されます。自分の文から作られた読みやすい履歴だけで、"何を決め、いつ変わったのか?"に答えられます。

履歴を正確に保つルール

ノート間の改訂に参加するのは、decision種類のステートメントだけです。主張や質問が、何かを黙って"supersede"することはありません。

順序にはノート自身に書かれた日付を使います。日付のないノートは、改訂に一切参加しません。

ステートメントの状態(current、superseded、retracted)は保存されず、改訂エッジから読み取り時に算出されます。機械による提案は実際に書いた内容とは別に保存され、文章を編集することはありません。

決定が"Superseded"として表示されるのは、確認済みまたは自動適用済みの改訂だけです。自動適用されたものにも、必ず"Undo"が残ります。

活用3:関連する概念をつなぐ読書記録

想定する資料は、epubの書籍、URLで保存した長文記事、ときどきある講義録音です。読書をつながりとして蓄積し、何度も登場する著者や、2冊の本を橋渡しする考えを知りたいとします。

読書ログを作る

  1. 読みながら取り込む

    epubとPDFを"Extract sources"へドロップし、記事リンクは"Add URL"から貼り付けます。音声はクラウドで文字起こしされます。著者、作品、考えが型付きエンティティとして抽出されます。

  2. 自分の考えを加える

    各書籍について、得たものや反対する点を短いMarkdownノートに書きます。保存すると、その文が書籍から抽出されたエンティティと結びつき、明確な主張は"In your words"に入ります。

  3. 読書をデータとして眺める

    ⌘⇧Lでエンティティテーブルを"All entities"表示で開き、Notesの降順に並べます。よく登場する著者や考えが上に来ます。"Filter by name…"で絞り込み、行をクリックするとエンティティページが開きます。

  4. 更新され続けるコレクションを作る

    Graph canvas → Collections FAB → "New collection"へ進みます。型から始め、"Only ones connected to…"で絞り、"Hop to a connected type…"で軸を移し、"≥ N mentions"でフィルターしてからApplyを押し、名前をつけます。

  5. 戻ってきたときに確認する

    6時間以上空けて戻り、本当に新しい情報があれば、グラフに"While you were away"が表示されます。新しいエンティティのチップと、成長または新規登場したテーマを確認できます。

作例:自分の読書サークル

Workから始め、"Hop to a connected type…" → Personを選びます。読んだ作品につながる著者や人物が、ひとつの集合に入ります。Applyを押し、"Reading circle"と名づけます。

Collections FABからいつでも開けます。"Open as table"なら並べ替え可能な表として表示できます。コレクションは手順を保存したレシピなので、今夜新しい本を加えれば、読書サークルも自動で広がります。

期待される結果。 問いかけに応える読書ワークスペースができます。エンティティテーブルを見れば、読書の中心となる人物や概念がわかり、"Show on canvas"を押せば、表示中の絞り込み結果だけを3Dグラフへ配置できます。これは固定されたスナップショットではありません。コレクションは表示のたびにライブグラフへ再適用されるため、ノートの変化とともに件数も変わります。

3つの活用法に共通する手順

用途の物語を取り除けば、3つのレシピは同じ5つの動きです。この型が見えれば、就職活動、住宅改修、論文など、どんな分野にも自分なりのレシピを作れます。

動き場所レシピでの場面
取り込む"Extract sources"ウィザード、または通常のノート保存論文とepubを取り込み、会議ノートは書くたびに静かに取得
教える"Domain vocabulary"分野の正規述語を整え、再抽出して過去のノートにも反映
整える"Synonyms" · "Entity types" · "Relationships" · "Revisions"重複ラベルを統合し、型を指定し、決定の改訂を確認
探索するGraph view · "Entity table" · "Topic map"Map modeでテーマを表示し、更新されるコレクションを作り、"Show on canvas"で配置
尋ねるChat"Ask a question about your documents"。回答はグラフのつながりをたどり、カーソルを合わせると根拠文を表示

5分で作る、2つのノートの意思決定ログ

  1. ノートを作成し、"Meeting notes, March 4, 2026. We'll launch Atlas in early June."と書いて保存します。
  2. ファイルツリーのバッジが落ち着くまで待ちます。点のない行は、抽出が完全に終わっています。
  3. 2つ目のノートを作成し、"Meeting notes, May 12, 2026. Decision: the Atlas launch moves to September."と書いて保存し、抽出の完了を待ちます。
  4. ⌘⇧Lを押し、"Filter by name…"に"Atlas"と入力して、エンティティページを開きます。"In your words" → Decisionsを確認します。
  5. ナレッジグラフの左レール → "Revisions"を開き、NEW/REVISESの組み合わせを探します。保留中なら"Confirm"を押し、すでに"Applied"ならその状態を確認します。

Atlasページでは3月の決定に取り消し線が入り、"Superseded"バッジと、5月のノートへ移動する"Superseded by {note}"リンクが表示されます。何を決め、いつ変更したかという履歴が、自分の文から作られます。

まとめ

グラフを最新に保つ

新しいドメイン語彙は、それ以降に保存するノートにだけ適用されます。AIに用語を教えたら、Extractionパネルの"Re-extract everything"を一度実行し、過去の資料全体にも新しい語彙を反映してください。

すべての会議ノートに、フロントマターまたは最初の行で日付を書きます。Revisionsはノート自身に記載された日付で決定を並べるため、日付付きのログなら変更履歴が自動でつながります。

  • 調査ワークスペース:ウィザードで取り込み、5段階を実行し、根拠文を引用する回答を得ます。その後、"Domain vocabulary"と再抽出で改善します。
  • 意思決定ログ:日付付きのノートと明確な文を入力し、"In your words"と"Revisions"で、何がいつ変わったかを自動で保守される履歴として確認します。
  • 読書ログ:書籍と記事を取り込み、エンティティテーブルと更新されるコレクションで、読書を積み重なるネットワークへ変えます。
  • 毎回同じ仕組みです。取り込む → 教える → 整える → 探索する → 尋ねる。

次は、この5つの動きを使って、散在する資料の山から引用可能な結論まで、ひとつの調査を最後まで進めます。

調査・会議・読書の記録を活用